ガブリエル・フェルツ指揮，シュトゥットガルト・フィルのマーラー７番ライヴ
◎マーラー 交響曲第７番 <2007.4.23&24> ガブリエル・フェルツ指揮，シュトゥットガルト・フィル 独Dreyer-Gaido CD 21041 これはドイツのDREYER-GAIDOに継続的に録音を行っているガブリエル・フェ ルツの新譜で，手兵のシュトゥットガルト・フィルを指揮してのライヴ録音で， マーラーの交響曲全曲録音の第一弾だということです。 さっそく聴いてみると，オケの響きは厚みや重量感よりも，キレのよいシャ ープさが際立つもので，フェルツはこのアンサンブルを駆使して明快で精力的 な演奏をつくりだしており，解釈も比較的オーソドックスといえるものです。 また，クリヤーで力感のある演奏であることに加え，感興と生気にも満ちて おり，速度や表情の急激な変化には何度も，おおっ！と惹き込まれてしまった のですが，これはフェルツがスコアを通じて感じ取ったものを素直に表現して いるようで，自身による解説書にもその旨が書かれているところです。 音質については，やや暗めで音色感はいまひとつですし，ＣＤということで ＳＡＣＤのような響きの情報量や厚みを聴くことはできませんが，比較的良好 なライヴ録音の音質を聴くことができると思います。 そんなわけで，これはまだ３０代のフェルツが作品への共感とともに，全力 を尽くしてアプローチした，聴き手に爽やかな感動をもたらしてくれる演奏を 聴くことのできる，他の録音からは聴くことのできない独自の魅力を有した１ 枚として，一聴をお薦めしたいと思います。
2008.9.10
