オルランド・コンソートのジョスカン・デ・プレのモテット集
◎ジョスカン・デ・プレ モテット集 １．けがれなく，罪なく，貞節なり，マリア（５声） ２．フェーブスの輝きに（４声） ３．深き淵より（５声） ４．神の子キリスト／我は愛を得（４声） ５．おお処女のなかの処女よ（６世） ６．民のうちの富める者はみな御身が御顔を（４声） ７．オケゲムの死を悼む挽歌（５声） ８．おお，いとも甘美なる良き主イエスよ，／パーテル・ノステル ／アヴェ・マリア（４声） ９．輝くオリュンポスの山より／彼ら，ひとり子のために泣く（５声） 10．おお，もっとも思慮深き処女よ／祝福された御母よ（６声） オルランド・コンソート アンドルー・カーウッド（テノール，６声の作品） ロバート・マクドナルド（バス，５声及び６声の作品） 独ARCHIV 463 473-2 オルランド・コンソートの新譜で，ジョスカンのモテット集を見つけゲット してきました。オルランド・コンソートは，タリス・スコラーズのメンバーの 男声３人が，旧知のもう１人とで結成した４人のアンサンブルで，１１世紀か ら１５世紀作品を演奏対象にしています。 このアンサンブルはアモン・ラやメトロノーム・レーベルに録音していたの でしたが，最近はアルヒーフレーベルに録音するようになり，アルヒーフの国 内盤も初めは出ていたのが，ここ１，２作は国内盤も発売されず，このＣＤの 国内盤発売も未定のようです。 このアンサンブルは，タリス・スコラーズが聴かせる，ふくらみのある華や かさとは異なる，男声だけの切りつめた人数でストイックにアンサンブルを極 めた完成度の高い演奏を追求しているのですが，それでいて，心地よく澄みきっ た，耳あたりの良い響きを聴かせているところには，表現として通じるものが あるように思います。 今回の演奏は，このアンサンブルが演奏対象としている作品としては最も後 期のものになるのですが，ここでのストイックにアンサンブルを極めるアプロ ーチは，これより前のデュファイやバンショワなどの時代を意識させるところ もありとしても，作品を綾をくっきりと描き出しながらも，ギスギスと痩せた ようなところのない，耳あたりのよい響きを聴かせているところは，このアン サンブル独自の魅力ではないかと思います。 ジョスカンの録音は名演も多く，今回のＣＤに似た編成だと，ヒリヤード・ アンサンブルが「アヴェ・マリア」などの作品を録音した１枚はとりわけ名盤 として名高く１９８６年のレコードアカデミー賞を受賞していましたが，私自 身はアンサンブルが完璧なのはいいとしても，響きそれ自体の魅力や愉悦感が 感じられないところには物足りなさを感じていました。 それが今回のＣＤでは，単にアンサンブルの完璧さを誇るだけでなく，響き それ自体が大変魅力的であり，個人的にはジョスカンのモテットの最上の１枚 といえるもので，広くお薦めしたい名演だと思います。
2000.12.17
