カトワールのピアノ曲集
◎カトワール カプリース 作品３ 間奏曲 作品６の５ ３つの小品 作品２ 前奏曲 作品６の２ 眼差し（エチュード）作品８ ５つの小品 作品１０ ４つの小品 作品１２ ４つの前奏曲 作品１７ 凋落の歌（ピアノのための４つの小品） 作品２４ 詩曲 作品３４の２ 前奏曲 作品３４の３ ワルツ 作品３６ アムラン（ピアノ） 英HYPERION CDA 67090 カトワール（Georgy Lvovitch Catoire 1861-1926）の作品というのは聴い た記憶がないのですが，カタログを見ると，ヴァイオリン・ソナタ他をオイスト ラフとゴリデンヴェイゼルが演奏したＣＤがDOREMIから出ていました。 ◎加DOREMI DHR-7720 このＣＤでは，作品番号順に収録されているのですが，聴き始めはサロン風小 品というか，ある程度の水準できっちり書かれてはいるのですが，オリジナリティ とかインパクトに乏しいような印象でした。 しかし，作品番号が２桁となる辺りから，スクリャービンの前奏曲みたいな雰 囲気になってきて，惹き付けられるようになってきます。スクリャービンほどの 神秘性には至らないものの，幻想性の漂う作風で，早いパッセージで弾くのが難 しそうな部分もあちこちにあります。 これらは今までほとんど聴かれることのなかった作品なんでしょうが，埋もれ させておくにはあまりに惜しい魅力をもった作品だと思います。特にスクリャー ビンの作品に魅力を感じながらも神智学とやらの胡散臭さに辟易としている方に とっても，カトワールの作品は受け入れやすいのではないでしょうか。 アムランの演奏は，作品自体に語らせようというような感情的に淡々と弾いて いるような感じもしますが，音のコントロールは全く見事で，どんな時にも崩れ がないのはさすがです。これだけ魅力的なＣＤが現れたとなると，カトワール作 品は今後大ブレイクするかもしれません。久々に「発見」したと思えるＣＤでし た。
1999.12.30