お薦め！ナクソス・レーベルのハウエルズ
長年に亘って私の愛聴曲である，ハウエルズの合唱曲がナクソスから出てい るのを見つけ，ゲットしてきました。 ◎ハーバート・ハウエルズ マニフィカトとヌンク・ディミティス 牡鹿のように オルガンのための賛歌 レクイエム クリスマス・アンセム「むかしむかし」 サーヴィス「コレギウム・レガーレ」 オルガンのための狂詩曲第３番 地よ，慈しみもてこの人を収め給え クリストファー・ロビンソン指揮， ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ合唱団， イエイン・ファリントン（オルガン） 香港NAXOS 8.554659 私がハウエルズを知ったのは１９８８年のこと。ハイペリオンから，コリド ンシンガーズによるレクイエム他と，セントポール寺院の聖歌隊による合唱曲 集という２枚のハイペリオン盤でした。 ２０世紀の作品とはいえ，その作風は穏健ですが，ハーモニーが非常に美し く，加えてハウエルズ独自の響きといえる確かな刻印があります。さらに印象 深いのは，聴き手に対して表現がストレートに伝わってくることで，何かで装っ たり，仄めかしたりということがありません。真っ直ぐに目を見て訴えるよう な真正さを感じます。 今回のNAXOS盤では，私の好きな曲である，ア・カペラで歌われるレクイエ ムと，「地よ〜」が収録されているのがポイントが高いところです。レクイエ ムは小児麻痺が元でなくなった息子の追悼に書かれた曲であり，「地よ〜」は ケネディ大統領の追悼のために書かれた作品です。 演奏をしているケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジには，ハウエル ズは１９４１年からオルガニストを務めていて，その傍ら宗教曲を作曲してい たという縁の地でもあります。 このＣＤでの合唱は，ボーイ・ソプラノを起用した男性による合唱です。演 奏水準は最高とまでは言えないにせよ，十分に優れたもので，作品の魅力を過 不足なく伝えていると思います。 せっかく入手容易なNAXOS盤で出たことでもあるし，騙されたと思って聴い てみてはいただけないでしょうか。
1999.11.21