レーピンのスペイン交響曲と詩曲(名演！)

　レーピン＆ケント・ナガノの新譜を見つけ，さっそく聴いてみました。

◎ラロ　　　　スペイン交響曲
　ショーソン　詩曲
　ラヴェル　　ツィガーヌ

　　　レーピン（ヴァイオリン），ケント・ナガノ指揮，ロンドン響

　　　仏ERATO  3984-27314-2


　スペイン交響曲や詩曲は私も大好きな曲ですし，録音も少なからずあるので
すが，以外に名演に恵まれていない作品なのではないでしょうか。

　スペイン交響曲は小気味の良さに加え，僅かでもいいので情熱のほどばしり
がほしいですし，詩曲は雰囲気を損なってはぶち壊しの作品なので，なかなか
しっくりくる演奏がないなと思っていました。

　スペイン交響曲で比較的気に入っている演奏というと，グリュミオーやチー
・ユン，フランチェスカッティ。詩曲は古い録音ですがエネスコやヌヴー，最
近ではジュイエといったところが思い浮かびます。

　それでもって，今回のレーピン＆ケント・ナガノ盤ですが，安心して聴ける
テクニックは当然として，作品に対してちょうどいい按配のエモーションと，
それに加えて品のよい華やかさがあり，素晴らしいセンスの演奏になっていま
す。

　レーピンの録音はこれまでもいろいろ聴いてきましたが，今回のＣＤの出来
映えはひときわ見事ですね。正直なところ，タワーのスペシャルプライスになっ
ていなかったらゲットしていなかったかも知れないのですが，入手して大正解
でした。

　残るツィガーヌも同様の傾向の名演です。ただ，この作品はデモンストレー
ション的でセンセーショナルな弾き方をしても充分様になるところあるので，
先の２曲ほどの強い印象ではありませんでした。

1999.10.28