未聴CDを聴く18 小澤征爾のデビュー録音他


◎チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番<1966.8.24-5>
          ヴァイオリン協奏曲<1965.12.8>

   ジョン・ブラウニング(ピアノ)
   エリック・フリードマン(ヴァイオリン)
   小澤征爾指揮,ロンドン響

   米RCA  60491-2-RV


 かつて国内盤CDでも発売されていたものですが,私は初めて聴きました。
ヴァイオリン協奏曲は小澤のデビュー録音といわれていたものですが,正確な
ところはオントモムックの小澤征爾NOWが実家にあり,調べられません。こ
れらの録音は,当時米国内で人気の若手ソリスト目当ての録音のようにも思わ
れます。

 ピアノのブラウニングは1933年デンヴァー生まれ。1956年のエリー
ザベト王妃コンクールで1位のアシュケナージに次いで2位に入り,一躍その
名を知られるようになり,バーバーのピアノ協奏曲の初演も行っていて,セル
指揮の録音があったほか,1990年に再度スラットキンと録音していました。

 このチャイコフスキーはいかにもアメリカの新鋭らしい,精力的な演奏を聴
かせてくれますが,アクセントの付けすぎがちょっと気になりました。

 一方,ヴァイオリンのフリードマンは1939年ニュージャージー州生まれ。
ガラミアン,ミルシテインに学んだ後にハイフェッツに師事し,ハイフェッツ
の愛弟子として華々しい演奏活動を行っていたそうで,この録音もこうした時
期のものだからか,早いフレーズではハイフェッツを思わせる(もちろん本家
本元には及びませんが)音の響かせ方とフレーズのキレでなかなか聴かせる演
奏になっています。

 いずれの演奏も若さ漲る魅力に満ちたものでしたが,最近はどうしているの
でしょうか?

 小澤の指揮は,引き締まっていて反応もよく,ソロとも丁々発止のかけ合い
を聴かせてくれ,指揮者としての基本的能力に非常に秀でた指揮を聴かせてい
るように思います。

1999.10.4