いまやレア盤！ダヴァロスのブラームス交響曲全集
◎ブラームス 交響曲第１番 悲劇的序曲 英ASV CD DCA 729 ◎ブラームス 交響曲第２番 ハイドンの主題による変奏曲 英ASV CD DCA 744 ◎ブラームス 交響曲第３番 セレナード第１番 英ASV CD DCA 745 ◎ブラームス 交響曲第４番 セレナード第２番 ハンガリー舞曲第１〜３番 英ASV CD DCA 746 フランチェスカ・ダヴァロス指揮，フィルハーモニア管 イタリアの指揮者，フランチェスカ・ダヴァロスは，１９３０年生まれのベ テラン指揮者で，イタリア国内，ハンブルク，フランクフルト，コペンハーゲ ンなどで指揮をしていましたが，１９８７年にフィルハーモニア管を指揮した 演奏が評判になり，それがきっかけでフィルハーモニア管を指揮して英ＡＳＶ レーベルに録音を行うようになり，当時，その演奏は大きな評判になったもの でした。 英国内でＣＤがリリースされたのは１９９０年ころでしたが，やや遅れて １９９３年以降国内盤も発売されるようになりました。特にブラームスの交響 曲の録音は，遅れてきた名指揮者ダヴァロスの代表的名演として国内でもかな りの評判だったように思います。 私もその当時からダヴァロスの評判は知っていたのですが，輸入盤はフルプ ライス。国内盤は２８００円という価格であり，ブラームスの交響曲４曲を４ 枚のＣＤに収めていたこともあって，バーゲンか中古で入手できればいいなと 思っていました。 ところが，そう上手い具合に出会えるわけもなく，それどころか，ダヴァロ スのブラームスの交響曲は国内盤，輸入盤ともカタログから落ちてしまいまし た。 その後，英ＡＳＶはスーパーバジェットプライスのリリースを始め，ダヴァ ロスのシューベルトのグレートや，ブラームスのセレナードなどのＣＤが発売 されましたが，ブラームスの交響曲は発売されませんでした。 また，ＡＳＶはバークシャーのカタログの常連でもあり，ダヴァロスのＣＤ は常々狙っていたのですが，ワーグナー管弦楽曲集全４枚や，クレメンティの 交響曲，ブルックナーの７番，ＩＭＰレーベルでのメンデルスゾーンの真夏の 夜の夢，スメタナのわが祖国など次々とゲットしたものの，やはりブラームス の交響曲がカタログに載ることはありませんでした。 というわけで，発売当時はありきたりのなんでもないＣＤであった，ダヴァ ロスのブラームスの交響曲ＣＤを今になって入手することが予想外に困難になっ ていたのでした。しかも，聴けないとなるとますます聴きたくなるのが人情。 その思いは募るばかりでした。 しかし，願い続ければいつかは通じるのか，最新のバークシャーのカタログ （＃７５Ｃ）を見たら，そのダヴァロスのブラームスが４枚揃って載っている ではありませんか！！！直ちにオーダーしたことはいうまでもありません。 ただ，オーダーしたとはいっても，人気アイテムはすぐ売り切れてしまうの で果たして無事に入手できるかどうか，期待と不安の入り交じった日々を送っ てきたのでしたが，おかげさまで本日無事に全４枚が到着いたしました。しか も，バークシャーではときおり見られるカット盤でもない，きれいなＣＤを入 手できたのはラッキーでした。 はやる気持ちを抑えつつ，早速１番から聴いてみましたが，これは実に素晴 らしい演奏です。引き締まった，立ち上がりや反応のよい演奏で，どこかジュ リーニの音楽づくりにも通じるような洗練されたストイックさがあり，単にかっ こいいだけでなく，聴いていて身の引き締まる思いがします。 反面，重量感とか，ブラームス独自の濁りやくすみといった要素は感じられ ず，いわゆるドイツのブラームスとは全く趣を異にするものですが，これはこ れで，非常に男らしい，いさぎのよい演奏であり，それにイタリアならではの 洗練味が加わった，まさに伊達男の演奏だと思いました。 これらのＣＤはバークシャーでは１枚４．９９ドルです。ださいブラームス に辟易している方には干天の慈雨のような名演だと思いますよ。
1999.10.1