カルロスのカナリア・ライヴ１９９９年１月９日


◎ベートーヴェン　交響曲第４番
　　　　　　　　　　　　第７番
　ヨハン・シュトラウス２世　喜歌劇「こうもり」序曲

　　　カルロス・クライバー指揮，バイエルン放送響<1999.1.9>

　　　米We Love Carlos Society  WLC 1-702


　１９９９年１月７日のライヴ録音に引き続き，９日のライヴ録音が発売さ
れました。すでに出ている７日の演奏と比較すると，一聴して気付くのは，
７日の演奏は残響が多く低音が薄いのに対し，９日の方は低弦まで良く聴こ
え，管楽器の音が後退気味で，音像も近く残響が少な目なことです。

　７日の録音は客席から天上方向にマイクを向け，９日の方は前の方の座席
からステージにマイクを向けて録音したように思われます。演奏がよく捉え
られているのは９日の方ですが，反面，会場の雰囲気が捉えられているのは
７日の演奏の方です。

　音の条件が違うので，演奏の印象もそれに引っ張られる面がどうしてもあ
りますが，勢いがあるのは７日の方で，９日の方はアンサンブルが良くまと
まっていて，余計な力が抜けているような印象があります。

　９日の演奏の方は，オケがカルロスの指揮にぴったりと吸い付くような反
応の良さがあり，４番の４楽章の機敏な演奏なんかは目が覚める思いでした。
７番の方も，７日の演奏と比べてさらに身の詰まった演奏で，ひときわ充実
感があります。あえて贅沢を言えば，うまくいってる演奏ってひと味足りな
いなと感じたことでしょうか。これも７日の演奏を聴いている故のことかも
しれません。

　９日のこうもり序曲は，決して勢いに任せた故に制御不能になったりする
ことのない，指揮者のコントロールが行き届いた演奏だと思いました。これ
で軽やかさが出てくればいっそう素晴らしいのですが。

　この２つの演奏会録音はどちらがいいというのではなく，音質も対照的で
すし，双方補いあって演奏理解ができるのではないかと思われます。片方入
手しちゃった方はもう一方もぜひ聴いてみるべきでしょうね。

1999.9.7