初登場？ルドルフ・ケンペのマーラー

　ＢＢＣレジェンドの新譜の中にケンペのマーラーがありました。


◎マーラー　交響曲第１番<1965.5.22>

　　　ルドルフ・ケンペ指揮，ＢＢＣ響


　　　　　　交響曲２番「復活」<1972.9.10>

　　　ルドルフ・ケンペ指揮，ミュンヘンフィル，
　　　ニュー・フィルハーモニア合唱団
　　　シーラ・アームストロング（ソプラノ），
　　　アンナ・レイノルズ（アルト）


　　　英BBC LEGENDS  BBCL 4022-2


　ＢＢＣレジェンドのケンペというと，シリーズ初回発売に含まれていたブラ
ームスの交響曲４番の演奏が実に素晴らしかったので，今回も名演が聴けるの
ではないかと期待して入手したＣＤです。しかも，ケンペのマーラーの録音な
んて今まで聞いたことがありません。もしかすると初登場かもしれません。

　最初の１番は，１９６５年録音ということもあってかモノーラル録音です。
ＢＢＣスタジオのレコーディングだそうで，聴衆を入れての収録のようです。
でも，この演奏ははっきりいって全然さえない演奏で，非常に正直というか純
音楽的な演奏とはいえるのですが，どうもイマイチ乗りこなせていない感じが
否めません。

　一方，復活はロイヤルアルバートホールでのライヴ録音です。オケも気心知
れたミュンヘンフィルであるせいなのか，１番よりも格段に生彩のある，彫り
のある演奏を聴かせてくれます。盛り上がるところでの迫力も充分です。ケン
ペの力量が十分に堪能できる演奏です。

　ただそれでも，この演奏も非常にユニークで，やはりマーラーを指揮するに
はケンペは正直者過ぎるのでしょうか。裏表の全くない非常にクリヤーな演奏
であり，マーラーの交響曲というよりは，オラトリオかなにかを聴いているよ
うな形から入った演奏みたいに感じてしまうのも事実です。

　このシリーズの音質は総じて良好とはいえるものの，デジタルマスタリング
で無色透明な傾向の音になっているので，そのせいもあってこう感じたのかも
しれません。演奏終了後の拍手は熱狂的なものですが，あそこの聴衆はノリが
いいみたいですしね(^^;)

1999.9.28