ピーター・シムール指揮によるドルース版のモツレク

◎モーツァルト　レクイエム（ドルース版）

　　　イヴォンヌ・シムール（ソプラノ），
　　　キャスリーン・デンリー（アルト），
　　　ジョゼフ・コーンウェル（テノール），
　　　アンドルー・ダール・フォーブス（バス）
　　　ピーター・シムール指揮，ヨークシャー・バロック・ソロイスツ，
　　　ヨークシャー・バッハ合唱団

　　　英YORK RECORDS  YBCD 1994


　モツレクのドルース版の録音にはロジャー・ノーリントン指揮のものが出て
いますが聴いておらず，初めてドルース版を聴いたことになります。楽譜がど
うなっているのか知りませんが，ちょっと付点っぽい刻み方をするのと，非常
にすっきりとした響きの合唱と相まって，バロック作品のように聴こえます。
モツレクの録音は大抵かなりロマンティックに聴こえることが多いので，これ
だけでも非常に新鮮な感じがしました。テンポはこの曲の演奏としては中庸だ
と思います。

　あと，特に気付いたのはラクリモサで，モーツァルトの絶筆といわれるイン
トロ部分はそのままですが，合唱が入ったところから，いつも聴き慣れている
のとは旋律が違っており，一体何なんだこれは！と驚いてしまいました。そし
て，このあとにアーメン・コーラスが入っています。

　この版の特徴と思えるのは，構成上はフル装備といった感じなのと，音の響
きとしては，典礼風，教会風というか，既に述べたようにバロック以前の伝統
的な教会音楽に連なるようなシンプルでアルカイックな感じがします。

　それから，器楽演奏を担当しているヨークシャー・バロック・ソロイスツの
リーダーはダンカン・ドルース自身が担当しています。

　このＣＤはショップで見かけたことがないのですが，私が購入した場所は他
でもない，ロンドンから特急列車で北に２時間ほどのところにある，ヨーク大
聖堂の中のブックショップなのです。一応イギリスのクラシックＣＤカタログ
には載っているので，一般に流通しているＣＤだとは思います。

1999.9.28