ティルソン・トーマスのマーラー交響曲７番
◎マーラー 交響曲第７番 ティルソン・トーマス指揮，ロンドン響 米RCA 09026-64510-2(2CD) ティルソン・トーマスのマーラーが新譜で出ていたのでさっそく聴いてみま した。２枚組ですが１枚価格でした。 マイケル・ティルソン・トーマス（ＭＴＴ）のマーラーというと，同じロン ドン響を指揮した３番が１０年ほど前に出たことがあり，たまたま車を運転し ながらＦＭ放送のスイッチを入れたところ，この曲が始まったばかりで，緻密 さと大胆さを兼ね備えた信じられないほどの名演で，聴きながら誰の演奏だろ う？これだけの精度を聴かせるのはドホナーニかな？でもドホナーニにしては 開放的で大胆で器が大きいように思うし・・・と結局誰の演奏なのか見当がつ かなかったのでしたが，曲が終わってからのアナウンスでＭＴＴの指揮だと知 り，大変驚いたものでした。 当時のレコ芸の批評でも諸井誠さんが非常に高く評価していて，場外ホーマ ーの名演だと書いていました。 そんなこともあって，期待して今回の７番を聴いたのでしたが，またしても 期待を上回る出来映えで，緻密で大胆なだけでなく，自由に作品の中を泳いで いるような自在さがあり，その上，１つ１つのパートが明瞭に聴き取れる，実 にわかりやすい演奏になっています。 ただ，それでも終楽章は技術的にはきちんと演奏しているのですが，表現と して脈絡が無いというか，なんだかよくわからないままに，場面が切り替わっ ていくような感じがあり，聴き終えたときにはやや釈然としない気持ちが残り ました。 というわけで，終楽章がよく理解できなかったという点を差し引いても，こ の演奏もホームランですね。
1999.9.24
