マゼール指揮ウィーンフィルのドビュッシー
マゼールの新譜でウィーンフィルを指揮してのドビュッシーが出ました。 ◎ドビュッシー バレエ「遊戯」 交響詩「海」 夜想曲 マゼール指揮,ウィーンフィル,シェーンベルク合唱団 独BMG-RCA 74321 64616 2 マゼール指揮のウィーンフィルというと,一昨年にラヴェルの管弦楽曲集が 出て,それを聞いた私は,ちょっとケレン味ありすぎ,音楽づくり自体が悪趣 味なように思い,この部屋にもそう書いていた経緯があるので,今回のCDが どんな演奏になっているのか心配な気持ちもあったのですがとにかく聴いてみ ました。 さて,それで聴いてみたら,とても精妙で美しい演奏なので,これは嬉しい 驚きでした。1つ1つのパートにまでマゼールのコントロールが行き届いてい るような緻密さがあり,それがウィーンフィル独自の美しい響きに包まれて, これまで聴いたことのないようなドビュッシーの世界を聴かせてくれます。 まあ,マゼールの才能を持ってすればこのくらいのことはできるだろうとは 思いますが,今回は変に捻った演奏を目論まなかったのが良かったかもしれな いですね。 反面,全体的にソフトフォーカス気味でピシッとした感じを楽しむことはで きません。そういう演奏をお望みなら,ツェンダー指揮のCPO盤,それから ブーレーズ指揮のグラモフォン盤があります。 それから,遊戯と海はライヴ録音,夜想曲はスタジオ録音ですが,この中で は夜想曲が一番いろいろやってるなという感じがします。やはりスタジオ録音 だといろいろやってみたくなるのか,それとも,ムジークフェラインザールの 老練な聴衆の前では奇才ぶりを発揮するのは憚られたのか,その辺は私には知 りようがありません。
1999.9.19