ハスキルの同一プログラムによる２つのライヴ録音
ハスキルの新譜を２つ聴きました。 ◎ＣＤ１ モーツァルト ピアノ・ソナタ第１０番 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第１８番 シューベルト ピアノ・ソナタ第２１番 ハスキル（ピアノ）<1957.8.8> 墺HERAUSGEGEBEN VON DEN SALTZBURGER FESTSPIELEN SF 003 ◎ＣＤ２ モーツァルト ピアノ・ソナタ第１０番 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第１８番 シューベルト ピアノ・ソナタ第２１番 ハスキル（ピアノ）<1957.8.23> 仏TAHRA TAH362 これら２枚のＣＤは曲目が全く同じなので，同じ演奏会の録音かとも思いま したが，日付が異なっていて，違う録音でした。 ただ，これらのＣＤケースを見ただけでは解らないのですが，TAHRA盤のシュ ーベルトのソナタは１楽章がありません。 ＣＤ１はザルツブルク音楽祭，ＣＤ２はエジンバラ音楽祭のライヴ録音です。 いずれの演奏もスタジオ録音以上に生気に満ちた演奏で，ハスキル独自の柔 らかさと，愉悦感に加え，非常に率直に地が出ていて，それに強く惹き付けら れます。 ２つのＣＤを比較すると，録音も良くまとまっていて，インティメートな雰 囲気がよく出ているのがＣＤ１で，ＣＤ２は録音のせいもあるのか，クールな 感じの演奏になっています。 １晩の演奏会でこれら３曲を聴かせるというのは，聴き手にとってもなかな か魅力的なことではないかと思います。どの曲も自然な装いの中に考え抜かれ た表現を，さりげなく聴かせているのは，さすが大ピアニストの演奏いうしか ないと思います。 曲が同一ということで，どちらか１枚と言われれば，ＣＤ１をお薦めします が，ＣＤ２もやはり優れた演奏なので，できれば両方聴いてほしいですね。
1999.8.30