未聴CDを聴く14 テレンス・ジャッドの協奏曲
◎チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 テレンス・ジャッド(ピアノ), アレクサンドル・ラザレフ指揮,モスクワフィル 英Chandos CHAN 6509 このCDもバークシャーで入手していたものです。この録音は1978年6 月のチャイコフスキーコンクールの際のライヴ録音で,ジャッドは4位入賞し ています。 2曲のうち,チャイコフスキーは国内盤LPが発売されたことがありました が,プロコフィエフの方は出てないかも。 ●シャンドス OS 7096 最初に聴かれるチャイコフスキーは,若々しいはじけるような演奏に惹き付 けられます。裏表のない率直な表現にも好感が持てます。こういう演奏を聴い ていると未来への希望のようなものが感じられます。 続くプロコフィエフはさらに魅力的で,玉を転がすように明解でキレのよい フレージングに惹き付けられます。演奏がストレートで非感傷的なところが作 品にもマッチしていて,この曲の名演の1つといっていいのではないでしょう か。 この録音はジャッドが二十歳の時のものですが,ジャッドは非常に残念なこ とに,まだ22歳であった1979年12月16日にロンドンの自宅を出たま ま行方不明となり,12月23日にサセックス州のビーチ・ヘッドのふもとで 全裸死体で発見されるというミステリアスな死を遂げてしまいました。 私もジャッドの演奏を初めて聴いたので偉そうなことを言えたものではない のですが,「夭折の名ピアニストの遺産」などという言い方で片付けてしまう にはあまりに惜しい名演だと思います。掛け値無しの名演として一聴を薦めた いと思います。現在,バークシャーのカタログには$3.99で載っています。
1999.8.22