未聴ＣＤを聴く１３　ガーディナーのメリー・ウィドウ

◎レハール　喜歌劇「メリーウィドウ」全曲

　　ツェータ男爵　　　　　ブリン・ターフェル（バリトン）
　　ヴァランシエンヌ　　　バーバラ・ボニー（ソプラノ）
　　ダニロヴィッチ伯爵　　ボイエ・スコウフス（バリトン）
　　ハンナ・グラヴァリ　　チェリル・スチューダー（ソプラノ）
　　カミーユ　　　　　　　ライナー・トロースト（テノール）
　　カスカーダ子爵　　　　カール・マグヌス・フレドリクソン（バリトン）
　　ニエグシュ　　　　　　ハインツ・ツェドニク（テノール）
　　　ｅｔｃ

　　　ガーディナー指揮，ウィーンフィル，モンテヴェルディ合唱団

　　　グラモフォン　POCG 1840


　ウィーンフィルのメリー・ウィドウ初録音であり，ガーディナーとウィーン
フィルの初顔合わせでもあった話題盤ですが，先日，未聴ＣＤの山の中にある
のを見つけだしてきました。

　それで聴いてみたら，いや〜実に楽しい！これまで未聴だったのだ実にもっ
たいない話でした。

　何といっても，ウィーンフィルの演奏が実にハマっていて，かなり落ち着い
た演奏だとは思うんですが，それでも巧まず滲み出る自然なノリが楽しめます。
音色が魅力的なことは言わずもがなです。

　これがガーディナー指揮の功績かとなると，むしろ賢明なガーディナーはウィ
ーンフィルの持ち味を活かす方向に徹したのかなという気がします。

　とはいっても，これで１００パーセント不満はないかと言われれば，もうちょ
っとゾクゾクワクワクするような演奏が聴けたらもっと良かったと思ったのも
事実。このあたりは，ライヴ録音でなかったからなのか，指揮がガーディナー
だったからなのか，ウィーンフィルはフォルクスオパーとは違うんだというこ
となのかはよくわかりません。

　そんなわけで，ウィーンフィルに対する印象が強烈だったので，歌手の方は
どうかとなると，役者よりも正統派を揃えたというところでしょうか。粒は揃っ
てると思いますが，バーバラ・ボニーのヴァランシエンヌが以外にも！役にぴっ
たりで魅力的でした。スチューダーはシュヴァルツコップの名唱なんかと比較
したら気の毒ですが，まあ可もなく不可もなくという感じでしょうか。

　いずれにせよ，こういう上品なメリー・ウィドウというのも実に魅力的です
ね。もっとも，好みによってはもうちょっとはしたない演奏の方がらしいので
はないかと思われるかもしれませんけどね。

1999.8.12