未聴CDを聴く10 グールドのゴールドベルク変奏曲
◎J・S・バッハ ゴールドベルク変奏曲<1955> 平均律第2巻〜フーガ嬰ヘ短調<1957> フーガホ長調<1957> グールド(ピアノ) 米SONY CLASSICAL(英盤) SMK 52 594 (The Glenn Gould Edition Vol1 SX17K 52 562 所収) 有名な,グールドのゴールドベルク変奏曲の1回目のスタジオ録音です。も ちろん,初めて聴く演奏ではありません。 この録音のCDを最初に入手したのは,World Classic というレーベルか ら出ていたもので,10年半ほど前の石丸電気で600円で売られていたもの です。 ◎EEC World Classic WC 44001 音も以外にしっかりしていたので,しばらくの間はこのCDを愛聴していま した。 その後,輸入盤でグレン・グールド・エディションが発売されるようになり, 全てスーパー・ビット・マッピングによる音質向上が図られているというので, 上記ゴールドベルクを含め,特に聴きたいものを選んで入手していました。 ところが!,このシリーズはその後突如値崩れを起こし,1995年7月8 日の仙台レコード・ライブラリーのバーゲンで,当時6集?まで出ていたボッ クスセットが1枚800円で売られていました。 それまで基本的にバラで少しづつ買い集めていた私も,これを見て迷わず未 入手ボックスを一挙入手しました。その後,これらのボックスはバークシャー のカタログにも載るようになり,1枚6.99ドルでしたが,現在はソールド・ アウトのようですね。 そんなわけで,一度にグールドCDをあまりに大量に入手したため,積み上 げておくばかりでなかなか聴き進みませんでした。 そこで,今回一念発起して,とりあえず17枚組の Vol1から聴き始めよう としたわけですが,中を見たら何と,封を切ってあるのがCD1と2に当たる バッハのピアノ協奏曲だけでした(^^;)。 それで早速CD3から聴こうということになって,そのCD3というのがゴ ールドベルク旧盤なのです。 と,以上が今回の未聴CDを聴くに至った長い長い前置きでした。肝心の聴 いた感想ですが,一時期かなり繰り返し聴いた演奏であり,かなり諳んじてい るつもりだったのですが,改めて聴いてみると,勢いに任せて弾き進んでいる ばかりではなくて,スピードは自在に変化していて,後半にはいるとじっくり と聴かせるところが多くなってくるように思えます。 この演奏の魅力は何といっても,反応のスピードが速く,軽くて聴くのがと ても楽に感じられ,そして聴き手もその爽快さを共有できるところですね。 グレン・グールド・エディションになってからのグールドのピアノの音色は, それまで出ていたLPやCDとはかなり異なるもので,艶消しのグレーの金属 の表面を思わせるような音色に統一されています。 この音色がグールド本来の音色なのかどうかは知りようがありませんが,音 色として極めて個性的であっても,私には魅力的な音に聴こえますし,幅広い 表現に対応しうる音色のようにも思えるので,十分な手応えを感じつつ楽しん でいます。
1999.8.8