未聴ＣＤを聴く６　イグムノフのライヴ録音

◎リャードフ　　　グリンカの主題による変奏曲
　ベートーヴェン　ピアノ・ソナタ第７番
　ショパン　　　　ピアノ・ソナタ第３番

　　コンスタンティン・イグムノフ（ピアノ）<1947.12.3>

　　仏DANTE  HPC 069


　スクリャービンやラフマニノフにも師事し，フリエールやジューコフの師で
あったイグムノフ(1873.4.13-1948.3.24)の最晩年のライヴ録音。イグムノフ
７４歳の時の演奏ということになります。

　リャードフ作品は，作品自体をよく知らないのですがなかなか味のある演奏
ではないかと思いながら聴いていました。

　ベートーヴェンは，聴き始めこそなんだか生真面目な演奏だなあ，フレージ
ングも堅いなあなどと思いながら聴いていたのですが，３楽章になって，その
訥々とした弾き方の中から不思議な軽やかさと味わいが感じられて，これを聴
くと，イグムノフは確かに聴き手に伝えうる「内面」をもった演奏家であった
ということが分かります。

　最後のショパンは，ちょっと雑な感じがするというか，ミスタッチも目立つ
のですが，それでも独自のファンタジーに満ちた，演奏会場の雰囲気を自分の
世界で被ってしまうかのような趣があって，大家の演奏だなという感じがしま
す。

　おそらくイグムノフにしても，若い頃はもっとテクニックのしっかりとした
演奏をしていたのでしょうが，この最晩年のライヴでもテクニックのキレの不
足を補って余りある演奏をしていると思いました。

1999.7.18