30代のハスキルの素晴らしさ!
◎ペシェッティ ソナタ ハ短調<1934.1.23> ソレール ソナタ ニ長調<1934.1.23> ハイドン 変奏曲(アンダンテと変奏曲Hob:XVII-6から)<1934.1.23> シューマン アベッグ変奏曲<1938.5.29> 森のささやき<1947.10> ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番<1947.6.7> ハスキル(P),カルロ・ゼッキ指揮,ロンドンフィル 仏DANTE HPC 154 ハスキルの世界初復刻録音がいっぱいのCDをようやく聴きました。 1934年の録音は,ハスキルのデビュー録音なんだそうですが,この時すでに ハスキルは39歳なわけで,よく考えてみると,これまで,決して体力のある方 ではないハスキルの50代以降の演奏しか聴いていなかったことになるんですね。 それで,問題の1930年代の演奏ですが,後年のハスキルの演奏と同様に, 押しつけがまさの全くない,どこにも余計な力が入っていないような,クリヤー で滑らかな演奏です。 ペシェッティとソレールはハスキルの資質がよく分かる演奏で,ピアニストの 味付け次第でどのようにでもなる面を持った作品ですが,聴いていて無意味に感 じる瞬間が全くなく,ペシェッティは正攻法,ソレールは感興に任せて弾いたと いった印象があります。 続くハイドンは私の好きな作品で,ハスキルのこの曲の録音は他にもあります し,それ以外では,伊ERMITAGEから出ているグルダの演奏が気に入っていたりす るんですが,宝石のような輝きと,賢者の懐深さを同時に感じるような素晴らし い演奏でした。 DANTE盤もいったん品切れ,廃盤になると再プレスなどはしないみたいなので 入手するなら今のうちですね。
1999.7.4