アシュケナージのショスタコーヴィチ前奏曲
◎ショスタコーヴィチ ２４の前奏曲とフーガ 作品８７（全曲） アシュケナージ（ピアノ） 英DECCA 466 066-2(2CD) またまたスペシャルプライスで，アシュケナージのソロの録音をゲットし てきました。 私はピアニスト・アシュケナージの熱烈なファンでは決してありませんが， それでもアシュケナージには，指揮をするよりもピアノを弾いてほしいなと 常々思っており，しかも今回は作品が作品なので迷わずゲットしてきました。 それで，聴いてみた印象ですが，「いい」という一言のような気がします。 それも大声の「いい」でも感激の「いい」でもなく，沈着な精神状態での静 かな，そして本物の「いい」です。 この演奏を一般的な評し方をすると，端正で客観的な演奏である。いわゆ るロシア楽派の演奏と比較して，明るくクリヤーで垢抜けている。特にエモ ーションを感じる演奏ではないが，表現に過不足がない。考え抜かれた演奏 のようにも，感じたままに自然に弾いている演奏のようにも感じられる。三 つ子の魂百までという感じが，微かにだけれども確かに感じられる。実は， 音に現れているよりもずっと強いシンパシーをもって弾いているのかもしれ ない。 というよう演奏なんですが，私の感想は「いい」なわけでした。なんせ聴 いていて「いい」なものですから，何度聴いてもまた聴きたくなるのです。 おかげでここのところ，他のＣＤがなかなか聴けません。それにしてもこの 曲集って本当にいい曲揃いですね。 「音楽と語り合う」という言葉は，言い古されているけれども実感として どういうことなのかよく分からないなと思ったりもしていたのですが，この 演奏を聴いているときの私は確かに「語り合っている」という確かな感触を 感じています。
1999.4.24
